よくある質問

相続税に関するよくあるご質問

Q.相続税のしくみを教えて下さい。 
A.相続税は、相続や遺贈によって取得した財産及び相続時精算課税の適用を受けて贈与により取得した財産の価額の合計額(債務などの金額を控除し、相続開始前3年以内の贈与財産の価額を加算します。)が基礎控除額を超える場合にその超える部分(課税遺産総額)に対して、課税されます。
この場合、相続税の申告及び納税が必要となり、その期限は、被相続人の死亡したことを知った日の翌日から10ヵ月以内です。
※ 金額は、税理士にご確認下さい。 

Q.相続時精算課税の制度について教えて下さい。 
A.相続時精算時課税の制度とは、原則として60歳以上の父母又は祖父母から18歳以上の推定相続人である子又は孫に対し、財産を贈与した場合において選択できる贈与税の制度です。この制度を選択する場合には、贈与を受けた年の翌年の2月1日から3月15日の間に一定の書類を添付した贈与税の申告書を提出する必要があります。
なお、すべてこの制度を選択すると、その選択に係る贈与者から贈与を受ける財産については、その選択をした年分以降全てこの制度が適用され、「暦年課税」へ変更することはできません。 また、この制度の贈与者である父母又は祖父母が亡くなった時の相続税の計算上、相続財産の価額にこの制度を適用した贈与財産の価額(贈与時の時価)を加算して相続税額を計算します。
※ 具体的な贈与税及び相続税の計算については、税理士にご確認下さい。

Q.相続税がかかる財産を教えて下さい。 
A.相続税は、原則として、死亡した人の財産を相続や遺贈(死因贈与を含みます)によって取得した場合に、その取得した財産にかかります。この場合の財産とは、現金、預貯金、有価証券、宝石、土地、家屋などのほか貸付金、特許権、著作権などの金銭に見積もることが出来る経済的価値のあるものすべてをいいます。 なお、次に掲げる財産も相続税の課税対象となります。
1)相続や遺贈によって取得したものとみなされる財産 
死亡退職金、被相続人が保険料を負担していた生命保険契約の死亡保険金などが、これに該当します

2)被相続人から死亡前3年以内に贈与により取得した財産
相続や遺贈で財産を取得した人が、被相続人の死亡前3年以内に被相続人から財産の贈与を受けている場合には。原則としてその財産の贈与された時の価額を相続財産の価額に加算します。

3)相続時精算課税の適用を受ける贈与財産
被相続人から、生前、相続時精算時課税の適用を受ける財産を贈与により取得した場合には、その贈与財産の価額(贈与時の価額)を相続財産の価額に加算します。 

Q.相続税がかからない財産を教えて下さい。 
A.相続税がかからない財産のうち主なものは次のとおりです。 
1.墓地や墓石、仏壇、仏具、神を祭る道具など日常礼拝をしている物
ただし、骨董的価値があるなど投資の対象となるものや商品として所有しているものは相続税がかかります。

2.宗教、慈善、学術、その他公益を目的とする事業を行う一定の個人などが相続や遺贈によって取得した財産で公益を目的とする事業に使われることが確実なもの 

3.地方公共団体の条例によって、精神や身体に障害のある人又はその人を扶養する人が取得する心身障害者共済制度に基づいて支給される給付金を受ける権利 

4.相続によって取得したとみなされる生命保険金のうち500万円に法定相続人の数を掛けた金額までの部分 

5.相続や遺贈によってもらったとみなされる退職手当金当のうち500万円に法定相続人の数を掛けた金額までの部分

6.個人で経営している幼稚園の事業に使われていた財産で一定の要件を満たすもの 

7.相続や遺贈によって取得した財産で相続税の申告期限までに国又は地方公共団体や公益を目的とする事業を行う特定の法人に寄付したもの、あるいは、相続や遺贈によってもらった金銭で、相続税の申告期限までに特定の公益信託の信託財産とするために支出したもの

※ 詳しくは、税理士にご確認下さい。 

Q.交通事故の損害賠償金の取扱いについて教えて下さい。
A.交通事故の加害者から遺族が損害賠償金を受けたときの相続税の取扱いは、被害者が死亡したことに対して支払われる損害賠償金は相続税の対象になりません。 

この損害賠償金は、遺族の所得になりますが、所得税法上非課税規定があります ので、原則として税金はかかりません。

なお、被相続人が損害賠償金を受け取ることに生存中決まっていたが、受け取らないうちに死亡してしまった場合には、その損害賠償金を受け取る権利すなわち債権が相続財産となり、相続税の対象になります。 
Q.弔慰金を受けとった場合の取扱いについて教えて下さい。
A.被相続人の死亡によって受ける弔慰金や花輪代、葬祭料などについては、通常相続税の対象になることはありません。 
しかし、

1.被相続人の雇用主などから弔慰金などの名目で受け取った金銭などのうち、実質上退職手当金当に該当すると認められる部分は相続税に対象になります。

2.上記1.以外の部分については、次に掲げる金額を弔慰金等に相当する金額とし、その金額を超える部分に相当する金額は退職手当金等として相続税の対象となります。

1)被相続人の死亡が業務上の死亡であるとき
被相続人の死亡当時の普通給与の3年分に相当する額
2) 被相続人の死亡が業務上の死亡でないとき
被相続人の死亡当時の普通給与の半年分に相当する額
※ 普通給与とは、俸給、給料、賃金、扶養手当、勤務地手当、特殊勤務手当などの合計額をいいます。

Q.被相続人が取得していた年金について取扱いを教えて下さい。
A.年金には国民年金や企業年金、その他個人年金保険契約に基づく年金など様々な種類の年金があります。
被相続人の死亡により取得する年金受給権については、年金の種類などによって相続税の課税が異なります。ここでは主なケースを2つ説明します。

1つは、
在職中に死亡し、死亡退職となったため、会社の規約等に基づき、会社が運営を委託していた機関から遺族の方などに退職金として支払われることになった年金です。
この年金は、死亡した人の退職手当金等として相続税の対象となります。 

もう1つは、 
保険料負担者、被保険者、かつ、年金受取人が同一人の個人年金保険契約で、その年金支払保証期間内にその人が死亡したために、
遺族の方などが残りの期間について年金を受け取ることになった場合です。

この場合、死亡した人から年金受給権を相続又は遺贈により取得したものとみなされて相続税の課税対象となります。 
年金受給権が相続税の課税対象となるときの価額の評価は、相続税法第24条の規定に基づき解約返戻金相当額などにより評価します。 

なお、厚生年金や国民年金などを受給していた人が死亡した時に遺族の方に対して支給される遺族年金は、原則として所得税も相続税も課税されません。また、死亡したときに支給されなかった年金を遺族の方が請求し支給を受けた場合は、その遺族の方の一時所得となり、相続税はかかりません。

Q.相続した事業の用や居住の用の宅地等の価額の特例(小規模宅地等の特例)について教えて下さい。
A.個人が、相続又は遺贈により取得した財産のうち、その相続の開始の直前において被相続人等の事業の用に供されていた宅地等又は被相続人等の居住の用に供されていた宅地等のうち、一定の選択をしたもので限度面積までの部分(以下「小規模宅地等」といいます。)については、相続税の課税価格に算入すべき価額の計算上、一定の割合を減額します。

この特例を小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例といいます。 なお、相続開始前3年以内に贈与により取得した宅地等や相続税精算時課税に係る贈与により取得した宅地等については、この特例の適用を受けることはできません。

※ 詳しくは、税理士にご確認下さい。 
Q.遺産総額から差し引くことができる債務を教えて下さい。
A.相続税を計算するときは、被相続人が残した借入金などの債務を遺産総額から差し引くことが出来ます。
差し引くことが出来る債務は、被相続人が死亡したときにあった債務で確実と認められるものです。

なお、被相続人に課される税金で被相続人の死亡後相続人などが納付又徴収されることになった所得税などの税金については被相続人が死亡したときに確定しないもの(相続時精算課税適用者の死亡によりその相続人が承継した相続税の納税に係る義務を除きます。)であっても、債務として遺産総額から差し引くことが出来ます。

ただし、相続人などの責任に基づいて納付したり、徴収されることになった延滞税や加算税などは遺産総額から差し引くことはできません。また、葬式費用は、債務ではありませんが、相続税を計算するときは遺産総額から差し引くことが出来ます。
Q.夫から財産を相続したのですが相続税はかかりますか 
A.亡くなった人の配偶者が相続や遺贈により実際に取得した正味の遺産額が、次の金額のどちらか多い金額までであれば、配偶者には相続税はかかりません。

①  1億6,000万円
②  正味の遺産額に配偶者の法定相続分(子供がいる場合は2分の1)

※  正味の遺産額のうち仮装又は隠ぺいされていた部分は、この制度の対象とはなりません。
この制度は、財産の維持形成に対する配偶者の内助の功や今後の生活の保障などを考慮して設けられているものです。
※  詳細は、税理士にご確認下さい。

贈与税に関するよくあるご質問

Q.贈与税とはどのような税金ですか
A.贈与税は、個人から財産をもらった時に係る税金です。
会社など法人から財産をもらった時は贈与税はかかりませんが、所得税がかかりことになっています。

また、自分が保険料を負担していない生命保険金を受け取った場合、あるいは債務の免除などにより利益を受けた場合などは、贈与を受けたとみなされて贈与税がかかることになります。
ただし、死亡した人が自分を被保険者として保険料を負担していた生命保険を受け取った場合は、贈与税ではなく相続税の対象となります。

贈与税の課税方法には、「暦年課税」と「相続時精算課税」の2つがあり、一定の要件に該当する場合に「相続時精算課税」を選択することが出来ます。
Q.離婚をして財産をもらったときに贈与税の問題が発生しますか。 
A.離婚により相手方から財産をもらった場合、通常、贈与税がかかることはありません。
これは、相手方から贈与を受けたものではなく、夫婦の財産関係の精算や離婚後の生活保障のための財産分与請求権に基づき給付を受けたものと考えられるからです。

ただし、次のいずれかに当てはまる場合には贈与税がかかります。

1)分与された財産の額が婚姻中の夫婦の協力により得た財産の額やその他全ての事情を考慮してもなお多過ぎる場合
この場合は、その多すぎる部分に贈与税がかかることになります。

2)離婚が贈与税や相続税を免れるために行われたと認められる場合
この場合は、離婚によってもらった財産すべてに贈与税がかかります。

Q.共働きの夫婦が住宅を購入した場合に何か問題がありますか。 
A.共働きの夫婦が住宅を購入するとき、その購入資金を夫婦共同で負担する場合が有ります。そのようなときに、実際の購入資金の負担割合と所有権登記の持分が異なっている場合には、贈与税の問題が生じることがあります。

例えば、総額3,000万円の住宅を購入し、夫が2,000万円、妻が1,000万円の資金を負担したものの、所有権の登記は夫婦それぞれの持分を2分の1とした場合です。

この場合、妻の所有権は登記持分の2分の1ですから、3,000万円の2分の1の1,500万円となります。しかし、購入のための資金は1,000万円しか負担していませんから、差額の500万円については夫から妻へ贈与があったことになります。

この場合、資金の負担割合に応じて夫3分の2、妻3分の1の所有権登記がなされていれば、贈与税の問題は生じません。 

Q.暦年課税の方法とはどのようなものですか 
A.贈与税は、1人の人が1月1日から12月31日までの間の1年間にもらった財産の合計額から基礎控除額の110万円を差し引いた残りの額に対してかかります。

したがって、1年間にもらった財産の合計額が110万円以下なら贈与税はかかりません。その場合は、贈与税の申告は不要です。

Q.複数の人から贈与を受けたとき(暦年課税)はどうしたらいいですか。 
A.暦年課税の場合、贈与税はその年の1月1日から12月31日までの1年間に、贈与により取得した財産の価額の合計額から基礎控除額の110万円を控除した残りの額に対して課税されます。
この場合の基礎控除額は、贈与をした人ごとではなく、贈与を受けた人ごとに1年間で110万円となります。

したがって、1年間に複数の人から贈与を受けた場合、その贈与を受けた財産の価額の合計額から控除できる基礎控除額は贈与者の人数に関わらず110万円となります。 

Q.相続時精算課税の方法とはどのようなものですか 
A.「相続時精算課税」を選択した贈与者ごとにその年の1月1日から12月31日までの1年間に贈与を受けた財産の価額の合計額から2,500万円の特別控除額を控除した残額に対して贈与税がかかります。
なお、この特別控除額は贈与税の期限内申告書を提出する場合のみ控除することが出来ます。
また、前年以前にこの特別控除の適用を受けた金額がある場合には、2,500万円からその金額を控除した残額がその年の特別控除限度額となります。

相続時精算課税を適用する場合には、財産をもらった人が申告と納税をする必要があります。なお、相続時精算課税を適用する場合には、納税額がない時であっても財産をもらった年の翌年2月1日から3月15日の間に申告する必要があります。 

Q.贈与税の計算と税率(暦年課税)について教えて下さい。 
A.贈与税の計算は、まず、その年の1月1日から12月31日までの1年間に贈与によりもらった財産の価額を合計します。続いて、その合計額から基礎控除額110万円を差し引きます。

次に、その残りの金額に税率を乗じて税額を計算します。
平成27年以降の贈与税の税率は、「一般贈与財産」と「特例贈与財産」 に区分されました。
参考 「一般贈与財産」の速算表

基礎控除後の

課税価格

200万円

以下

300万円

以下

400万円

以下

600万円
以下
1,000万円
以下
1,500万円
以下
3,000万円
以下
3,000万円

税率

10%

15%

20%

30%40%45%50%55%

控除額


10万円

25万円

65万円125万円175万円250万円400万円

※ 「特例贈与財産」その他詳細については税理士にご確認下さい。 

Q.親から金銭を借りた場合に贈与税がかかりますか。  
A.親と子、祖父母と孫など特殊の関係がある人相互間における金銭の貸借は、その貸借が、借入金の返済能力や返済状況などからみて真に金銭の貸借であると認められる場合には、借入金そのものは贈与にはなりません。

しかし、その借入金が無利子などの場合には利子に相当する金額の利益を受けたものとして、その利益相当額は、贈与として取り扱われる場合が有ります。

なお、実質的に贈与であるにもかかわらず形式上貸借としている場合や「ある時払いの催促なし」又は「出世払い」というような貸借の場合には、借入金そのものが贈与として取り扱われます。

Q.贈与税の対象になる生命保険とはどのようなものですか。 
A.保険料を負担していない人が、満期や解約又は被保険者の死亡により、生命保険金を受け取った場合には、保険料を負担した人からその生命保険金の贈与があったものとされます。

しかし、けがや病気などによるものは除かれます。

なお、被保険者の死亡により受け取った生命保険金のうち、被保険者が保険料の負担者となっていたものについては、贈与税ではなく、相続税の対象になります。

Q.結婚して25年です。妻にわが家を贈ろうと思うのですが。 
A.夫婦間で居住用不動産又は居住用不動産の購入資金の贈与があったときには、贈与税の申告をすれば、基礎控除110万円の他に最高2,000万円の配偶者控除が受けられます。この控除を受けるための要件は、次のとおりです。

①    夫婦の婚姻期間が20年以上であること
②    贈与財産が国内にある居住用の土地や家屋であること(その取得資金も含まれます)
③    贈与を受けた年の翌年3月15日までに贈与を受けた土地や家屋に実際に居住し、その後も引き続いて居住する見込みであること

※  この配偶者控除は、同じ配偶者において一生に一度しか受けられません
※  詳細は、税理士にご確認下さい。